甘夏edu

育つ、育てる、育む、教育などなど、「育」関連のあれこれについて

「ちょっとしんどいな」と言えること

小6の長男は中学受験予定で、小3の2月から塾通いをしている。正確には塾に通い始めてから「受験予定」になった、という感じだったんだけど、そんなことを言っているうちに2年経ち、今ではなんだかんだと王道の「中学受験生」だ。通っているのもベタな大手進学塾だ。

毎週にこにこしながら友達と塾に通い、問題集もちゃっちゃかこなし、頻繁に行われるテストも「やったー!」だの「やっちゃったー!」だのと言いながら楽しそうに受けてたので、あーこういうの好きなタイプなんだな、と思って安心しきっていたところで、ここにきて小さな異変が生じた。

週末の予定について話していた時のこと。この日はおじいちゃん泊まりにくるけど講習あるねえ、お夕飯は一緒に食べられるかな、なんてことを話していたら、息子がふっと黙り込んでしまった。そして、いかにも無理して笑ってる、みたいな表情で、

「うん、でも今は勉強がだいじ・・・」と唐突に呟いたので驚いた。そのままふらーっと立ち上がり、二間続きの隣の部屋に行ってしまう。しばらくしてから「やっぱり土日とも塾とかってちょっとしんどいなって思って・・・」という声がした。タオルケットにくるまりながら、笑おうとして失敗したみたいな顔のままで、少し泣いているようだった。息子のそんな顔を見たことがないので、胸が締め付けられた。

あー、それはそうだよな、と思ったし、そんなことにすら気づかない自分はこれまで何を見ていたんだろう、と思った。よく考えてみたらとっくに変なのだ。小学生が重いリュック背負って10時近くに帰宅することも、土日も長期休みもどんどん塾の予定で埋まっていくことも。それなのに、「本人、楽しそうにやってますから」の一点張りで、思考を放棄していた。

「土日が両方埋まってしまうこと」について詳しく聞く。遠くへ出かけたり旅行したりする自由がなくなってしまうんじゃないかということと、弟だけ出かけて自分が塾、というのが嫌なんだと話してくれた。一方で、「どうしたいか」についてはなかなか出てこない。あるけどだめだと思っているのかもしれない。わたしの口から軽々に「休んだらいいよ」って言ってもダメな気がした。(いや、言ったんだけど案の定スルーだった)

まだ実はこの件続いているんだけど(機会を見つけてまた書きたい)、まずは息子が自分の抱えてたストレスに気づけて、声に出してくれたことが本当に良かったと思う。

ひとしきり話を聞いてたらいい時間になってしまい、スーパーに行く気力もなかったわたしたちは夕ご飯をたこ焼きにしてしまった。たこは常備してないのでウインナーとか鮭缶とか、あるものを適当に入れた。おいしいともまずいともいえない微妙な味になったけれど、なかなか盛り上がった。その適当な味は、案外生真面目なわたしたち親子を祝福してくれたような気がした。